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株式会社 シンスター・ジャパン
         
        Technology
 JSTに支援された私達の研究開発チームは、写真用に開発されたある種の感光色素がこれらの疾患の原因となる寄生原虫を殺傷できることを発見し、これを端緒に分子設計と合成を繰り返すことにより抗マラリア薬として非常に有望なSSJ-183を見出し、日本企業としてはじめてMedicines for Malaria Venture(MMV)との共同開発を行うことができました。残念ながらSSJ-183は安全性の問題で開発途上でペンディングとなってしまいました。
 しかしその後、異なる骨格のSSJ-592を見出し、これをリード化合物とした構造最適化を進めた結果、マラリア感染マウスを完治できる化合物SSJ-717に至り次ステップの開発を目指しております。また、最近、
バベシア症(犬、牛)に高活性を示す化合物群を発見しており、今後の開発が期待されております。
 当社の開発資金は当社の技術基盤である
有機合成技術をベースにした受託合成(Custom Synthesis)による収益で賄われております。当社に合成委託している企業は、当社の国際支援活動を間接的に支えて下さっておりこれらの活動に対して2011年には日刊工業新聞社主催の”モノづくり連携大賞”特別賞を受賞しました。
 
     

 

 
 マラリアはハマダラ蚊の媒介によるマラリア原虫の感染による病気でアフリカ、アジア地域で2018年には2億2800万人が感染し、免疫力の弱い幼児を主体に40万5千人が亡くなっております。
その90%はサハラ砂漠以南の地域に集中しており、この地域の貧困にもつながっております。このような貧困とマラリアの負の連鎖を断ち切ることは、アフリカのみならず全人類の健康と環境問題上、重要な課題です。また、今後のアフリカ諸国との往来の活発化や地球温暖化によるハマダラ蚊の生息域の拡がりは、将来の日本人の安全・安心の観点からも留意すべき課題であると考えます。
 現在、マラリア治療薬は世界保健機構(WHO)が
推奨するアルテミシニン類を主体とする併用療法が使われておりますが、これらに対する
薬剤耐性マラリアが既に東南アジアに発生しており、常に新規治療薬を準備する必要があります。
 
  リーシュマニア症は乾燥地帯を中心にして1200万人程度の患者がおり、症状は悲惨で、特に内臓型はカラアザール(黒熱病)として恐れられ高い致死率を示しています。

 
バベシア症はダニが媒介する感染症で全世界の牧畜牛に見られその経済的損失は年間1兆円を超えると見込まれ、感染による致死率は30〜50%です。日本では西日本を中心に犬(ペット)にバベシア症が発生しており現在、良好な治療薬がありません。
 
   マラリアやリーシュマニア症等の原虫疾患を現代でもコントロールできていない最大の要因は、先進諸国がこのような疾患を開発途上国の問題とし、医薬品開発に取り組んで来なかったためと考えられます。  
 しかし、1999年にビル・ゲイツ財団、ヨーロッパの主要国が拠出して”マラリアの撲滅”をミッションとするMMVがGenevaに設立され、活発な国際支援活動を行っております。また、2003年にはリーシュマニア症、アフリカ睡眠病、シャーガス病を克服するための研究組織としてDrug for Diseases initiative (DNDi)が設立され支援を行っています。日本はこれまでこのような国際支援には傍観者的でありましたが、2012年、政府および大手製薬企業によるGlobal Health Innovative Technology Fund (GHIT Fund)が設立され日本の先進的医療技術を活用して寄生虫に起因する伝染病の克服に貢献しようとしております。